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生活習慣病はどんな病気?
「生活習慣病」はどんな病気かご存知ですか?
ポイント
生活習慣病とは、糖尿病・脂質異常症・高血圧・動脈硬化症などのことを言います。
他にもありますが、代表的な病気と言われているのがこの病気です。
それぞれ解説していきます。
糖尿病とは
糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度、いわゆる「血糖値」が高くなりすぎる病気です。
初期には症状がほとんどありませんが、進行すると動脈硬化が進み、脳卒中や虚血性心疾患を起こしやすくなります。
重症になると、網膜症、腎症、神経障害、足壊疽を起こし、失明・足の切断・人工透析などにつながるのです。
厚生労働省の調査によると、国内の糖尿病患者数は約1,000万人と推定されています(2016年国民健康・栄養調査)。
ところが同じ調査で、その患者さんのうち治療を受けているのは76.6%。
つまり、糖尿病であることに気づかないでいる人や、気づいていても治療をしないでいる人がいることになりますね。
「糖尿病」ですよと診断されるまでには、細かい診断基準がありますが、みなさんにまず見てもらいたいのは健診結果の「空腹時血糖」の数値です。
空腹時血糖値(12時間以上飲まず食わずの状態)が、以下の基準になっています。ぜひご自分の数値を確認してみてください。
空腹時血糖の基準値
- 100mg/dL以下は「正常」
- 100mg/dL以上110mg/dL未満の間は「正常高値」
- 110mg/dL以上125mg/dL未満の間は「境界型」
- 126mg/dL以上は「糖尿病」
糖尿病の症状は気づきにくく、多少血糖値が高いくらいでは全く症状のない人がほとんどです。
ですが、軽傷であっても合併症は着実に発症・進行していきます。
「症状がないから大丈夫」なのではなく、症状があれば血糖値はかなり高くなり、すでに「重症化」しているということです。
高血糖の症状としては下記のような症状です。
こんな症状が出たら要注意
- のどが渇く
- お小水が多い
- トイレが近くなる
- 体がかゆい、できものができやすい
- 傷が治りにくい
- 足がつる、だる
- 疲れやすい、物覚えが悪い、集中しない
- お腹がすく、食べてもやせる
健診で血糖値が高いと言われてから数年経っているか、上記の症状がいくつか当てはまっている方は、すぐに病院を受診してくださいね。
⚠️お小水が近くなり泌尿器科を受診する方がいますが、血糖値が原因の場合は内科・糖尿病内科に受診してください!
脂質異常症とは
脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を言います。
脂質は悪玉コレステロール(LDL)、善玉コレステロール(HDL)、中性脂肪(トリグリセライド)があり、これらの血液中の濃度の異常をきたす病気です。
脂質異常症の診断基準(空腹時採血)をみてみましょう。
高LDLコレステロール血症 | LDLコレステロール | 140mg/dL以上 |
低HDLコレステロール血症 | HDLコレステロール | 40mg/dL未満 |
高トリグリセライド血症 | トリグリセライド | 150mg/dL以上 |
脂質異常症も動脈硬化の悪化や促進つながります。
HDLコレステロールは、血液中の余分なコレステロールを取り除く役目を果すことから「善玉コレステロール」と呼ばれています。
HDLは少ないことが問題で、増やすポイントは、禁煙、運動、脂肪分の少ない食事です。
HDLは喫煙で減ってしまうので注意が必要です。
適度な運動は、中性脂肪を減らしHDLを増やしてくれます。
LDLコレステロールを減らすのも同様で、食べ過ぎに注意し、バターや卵・お肉は控えめにして、野菜やきのこ、海藻などをとり、魚を多く摂ると良いと言われています。
また、中性脂肪はアルコールや甘いものを取りすぎると増えやすいです。
⚠️健診の最低3日くらい前から採血の数値に影響するので、アルコール・甘いもの・焼肉屋ラーメンなどコッテリ系は控えましょう!
高血圧症とは
高血圧はみなさんよくご存知だと思います。
高血圧と診断されるのは、収縮期血圧(上)・拡張期血圧(下)がそれぞれ140/90mmHg以上です。
糖尿病の人では合併症の予防のため、正常範囲上限付近の血圧でも治療の対象となり、診察室血圧130/80mmHg未満に管理することが望まれます。
血圧を自宅で測ると通常、診察室よりもやや低い値になるため、家庭血圧は125/75mmHg未満が目標値です。
高血圧は主に食塩の摂りすぎ、肥満、飲酒、運動不足、ストレスや遺伝的体質などが組み合わさっていると考えられています。
なかでも、日本人は食塩の摂りすぎが問題と言われています。
日本人の食塩摂取量は1日平均約11gで、アメリカ人の平均約6gと比べても、明らかに摂り過ぎている傾向のようです。
例えば、カップラーメン1食でスープを含めると塩分は約5,5g、ミートスパゲッティ4,3g、おでん一人前7,7gと、塩分の多いメニューが身近にたくさんあります。
食材選びや調理方法を工夫したり、うす味の料理に慣れることで、食塩を1日10g未満、できれば6〜7g未満に抑えましょう。
動脈硬化症
今まであげた病気の行く末に「動脈硬化症」という合併症が待ち受けています。
血管の壁がプラークで厚くなるため、どんどん血管が硬くなってしまい、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こします。
食生活の欧米化やライフスタイルの変化による、肥満・ストレス・活性酸素などが原因とされています。
あまり知られてはいませんが、実は体にとっては非常に危険なものなのです。
生活習慣病が進行する原因
生活習慣病が進行する原因
- 食生活
- 運動不足
- 喫煙
- 飲酒
まさに上記のような、生活習慣が深く関わっています。
現代の食事は外食・ファストフード・コンビニ弁当・出前・レトルト食品など高カロリーな上に糖質・脂質が非常に多いです。
極端に、野菜などの食物繊維の摂取量もへっています。
食生活が豊かになっているせいで、摂取カロリーが消費カロリーを大幅に上回るというアンバランスが生じ、生活習慣病へと進んでしまうことになってしまいます。
また、食生活以外のも動脈硬化を悪化させてしまうのは、運動不足や喫煙、飲酒などが深く関わっているのはご存知でしょうか?
タバコが健康被害をもたらすのはニコチン・一酸化炭素・タールです。
血管を収縮させたり、血液をドロドロさせたりします。
血管の壁が損傷を受け、血管がぼろぼろになると言われています。
生活習慣病予防〜食生活5つのポイント〜
生活習慣病を予防するための食生活の5つのポイント
- 3食規則正しく、腹八分目
- 糖分は控えめに
- 塩分の取り過ぎに注意する
- 動物性脂肪を取り過ぎない
- ビタミンや食物繊維を積極的に摂る
昔から言われていることですが、生活習慣病を予防するための食生活は、3食規則ただしく腹八分目が基本です。
❶3食規則正しく、腹八分目
現代では1日1食や2食など欠食する人が多いです。
欠食すると、空腹で食べ過ぎたり次の食事の時に血糖値が上がりやすくなったりします。
- 朝食を必ず摂るようにしましょう
- 1度にドカ食いしないようにしましょう
❷糖分は控えめに
お菓子類や清涼飲料はカロリーの過剰摂取となり、肥満つながります。
果物も摂りすぎると肥満の原因になるので摂り過ぎに注意です。
例)野菜ジュース100〜150kcal /本・カフェオレ100kcal /本
- 飲み物はなるべく無糖にしましょう
- 間食をなくすか、カロリー控えめのものを選ぶ
❸塩分は控えめに
塩分の取り過ぎは高血圧、脳卒中、心臓病,胃 がんなどの原因となります。
外食、ファストフード、コンビニ食、レトルト食品はとても塩分が多いです。
例)カップ麺は1個5〜6g、レトルトカレーは1食4〜5g
- 理想の塩分量=男性8g、女性7g
- 減塩と書かれている商品を必ず買いましょう
❹動物性脂肪は控えめに
動物性脂肪の取り過ぎは肥満・動脈硬化症・心臓病・ がんの原因になります。
肉・バター・牛乳・ファストフードなどで使うラードは控えめにしましょう。
- 青魚などを多く摂るようにしましょう
- 調理油はオリーブオイルなど植物性のものを使いましょう
反対に魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)はとても良い食品です。
EPA・DHAは、サバ・イワシ・サーモン・マグロなどの魚に多く含まれ、魚などの脂肪酸を多く食べている人は、虚血性心疾患のリスクが低下し、認知症の発症が少ないことが明らかになっています。
❺ビタミンや食物繊維を積極的に摂る
野菜に多く含まれているカリウムは血圧を下げてくれる効果があります。
また 食物繊維は血糖値を上がりにくくする働きがあリ、 緑黄色野菜は抗酸化作用が強く動脈硬化の予防に有効です。
- 野菜は1日 350 〜 400g 摂りましょう(両手のひら3杯分)
- 食前サラダの摂取で血糖値の急上昇を防ぐことができます。
生活習慣病予防〜アルコールとの付き合い方〜
1日のアルコール量の目安は以下の通りです
- 男性20~30mg /日
- 女性10~20mg /日
日本酒1合・ビール中瓶1本・焼酎0.5合・ウイスキーダブル1杯・ワイン2杯相当の量です。
アルコールは血行をよくする、ストレスをやわらげるなどの効果があります。
とはいえ飲み過ぎは、肥満や高血圧、脳卒中、心臓病なども引き起こしますので適量を守りましょう。
まとめ
生活習慣病の多くは、不健全な生活の積み重ねが原因となって引き起こされます。
予防や改善には
- 3食規則正しく、腹八分目
- 糖分は控えめに
- 塩分の取り過ぎに注意する
- 動物性脂肪を取り過ぎない
- ビタミンや食物繊維を積極的に摂る
これしかありません。
もちろん、運動も大切なのですが、運動すれば何を食べても良いというわけにはいきません。
また、たまに高価なサプリメントなどを買ったり、健康食品を買ったりする方もいますが、そんな必要はありません。
現在の食習慣を見直すことが何より大切で、基本的に現代人は食べ過ぎと考え「引き算」をしましょう!
あなたの健康がいつまでも続きますように。
最後までお読みいただきありがとうございました。